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観ました、「トイレット」

仕事をクビになってからというもの、原稿書きの仕事がないときは、育児と家事だけの生活・・・結構かなり自由な時間があるものだと感じています。もちろんだからフルタイムで働こうとなるとそれは無理があるけれど、ほどほどになら十分時間があまるものなのだなと。

赤ちゃんが一歳半未満のおかあさんとかは別ですが、まだ歩けないとかミルクも数時間置きだとかは、でもここまでくるといろいろキャパが広がったかんじ。

それで、最近DVDを近所のTSUTAYAさんで頻繁に借りています。あちこちの面接を落ちながらね。地元に履歴書配って歩いてんのかってくらいね。それで最近ヒットだったのがやはりこれ。

やはりというのは監督が荻上直子氏であるからです。「めがね」「かもめ食堂」も大好きなのです。

主人公のレイ(アレックス・ハウス)は研究職。友達も彼女も作らず、誰とも深く関わらずに一人でいるのが大好き。趣味はプラモデルでロボットをつくること。

妹のリサ(タチアナ・マズラニー)は女学生。いつも黒を基調としたファッションで、華やかな女の子とは言えない。いつもむすっとしている。

兄のモーリー(デイヴィッド・レンドル)は引きこもりでニート。外に怖くて出られない病気で4年間もそんな状態。

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その3人の家族が、母の死をきっかけに日本人の「ばーちゃん」(もたいまさこ)と接していき、自分の可能性をいろいろと見出していくお話。

なんかうまいんですよね。「重力ピエロ」とかサンドラ・ブロックがアカデミーで主演女優賞とった、黒人の青年を家族に迎えるあの映画とか(思いつき順)、ちょーっと家族みんなイイ人すぎ仲良すぎじゃない??実際こーんなかんじある??

ってなりがちなんですが、この監督が撮る人間ってすごいリアリティあって、この3人と「ばーちゃん」もなんか隣にすぐいそうな家族ってかんじ。

一般的に華やかになりがちな映画の登場人物、「シザーハンズ」のウィノナとか「SATC」のキャリーとかなんか(思いつき順)、でも主人公レイって、本当に同じ職場や同じマンションに沢山いそう。でも目立たないからとりたてて記憶に残らないだけ。実はこういう人こそがこつこつこつこつ地味に毎日働いて世の中をしっかりと支えている。派手にパフォーマンスする人たちの何百倍も。

レイの妹のリサもやはりリアル。実在する女学生はこういう子が大多数。ビバヒルの主要人物とかあれほんの一握り。

長男のモーリーは普段人目につきにくいが、時代的にも日本にはものすごく多く存在するであろう人物像。ただ人目につきにくいっていう。

そんな3人と「ばーちゃん」の心の交流は素晴らしいのです。みんな作り笑いしない。怒る時は怒るし言いたいことずけずけ言ってもうリアルに「家族」なのですが、「ばーちゃん」が加わりさらにその親密さは良い方向に向いていく。

リサとモーリーとは自分の可能性を見つけ夢をもつようになる。レイはといえば相変わらず地味にこつこつと生きますが、ある事実と「ばーちゃん」の影響から人と人とのつながりをしっかりと見つめるようになる。

何がいいかって、このすごくリアルなかんじと、どう?感動するでしょ?いいお話でしょ?みたいな制作者側の気持ちが全くないこのかんじ。で、こういった平凡極まりない人々が実はすごくイイ、みたいなこのかんじ。

モーリーが古いミシンを見つけて新しい自分を見つけるシーンで、ちょっとひらめいてしまった。いや~、映画って、本当に良いですね~←これ若い人知らないかなあ。

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コメント

ヤマトさん、おはようございます^^
TB、ありがとうございましたm(__)m
プチ、ご無沙汰でしたね(汗)?

この婆さんの無言の存在感、凄かったですね(笑)?
もたいまさこって不思議女優さんですよね!
ただ黙って座っているだけで、
笑えたり、泣けたりする貴重な女優さんです^^

投稿: cyaz | 2012年6月28日 (木) 08時24分

cyazさん、おはようございます!

TB返しとコメントどうもありがとうございます!

そうですよね、他に
もたいまさこさんの変わりになる女優さんって、
いないですよね。

私は一時期、なにか辛い時
「めがね」をみる、
という習慣があったのですが、
何が良いってもたいさんのあの微笑みでした。

あとは綺麗な自然や美味しそうな食べ物をみて、
まあいいかーみたいになっていました。

この監督さんの作品はDVDそろえたいなあ。

投稿: ヤマト | 2012年6月28日 (木) 09時07分

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